藤井二冠について再考察

前回、王座戦で敗れた藤井二冠ですが、ここで見えたチェスクロックとの相性を踏まえたうえで再度考察します。

 

まず、藤井二冠は2019年以降の王座戦の成績が1勝3敗になりました。そして叡王戦の成績は10勝3敗(内、本戦0勝2敗)。

王座戦を2019年で区切っている理由は2019年度からチェスクロックに変わりました。それまでは8勝1敗です。

 

実は、競馬で例えると競走によって馬場は芝生とダートと2種類、さらに距離も1000~3600mに分かれます。
これを将棋で例えると、馬場はストップウォッチかチェスクロック、距離は持ち時間に当たります。

つまり、芝が得意だけどダートが苦手という馬が実際にいます。ディープインパクトも実はダートが苦手というデータがあります。
それと同じで将棋にもストップウィッチが得意という棋士もいれば、チェスクロックが得意という棋士もいます。

現時点で藤井二冠の場合はチェスクロックは111勝20敗、ストップウォッチは104勝21敗。こう見るとチェスクロックがいいようにと思いますが、今度はチェスクロックを棋戦別に分けます。

チェスクロックの場合

順位戦 6時間(B2以下まで) 39勝1敗
王座戦 5時間 1勝3敗(2019年度以降)
叡王戦 1時間(予選) 10勝1敗
叡王戦 3時間(本戦) 0勝2敗 
棋聖戦 1時間(一次予選) 9勝1敗
朝日杯 40分間 20勝1敗
NHK杯 20分(予選) 3勝0敗
NHK杯 10分+1分×10回の考慮時間 4勝4敗
銀河戦 25分(予選) 2勝0敗
銀河戦 15分+1分×10回の考慮時間 17勝3敗
日本S 10分+1分×5回の考慮時間 1勝2敗
他棋戦 5勝2敗

合計 111勝20敗.8473

 

実は半分以上が順位戦と朝日杯で占めており、それを除くと52勝18敗.743になります。
さらに特殊ルール除いた1時間以下の棋戦は朝日杯除くと19勝4敗.826。

このことから推測すると1時間以下は短距離走だから悪手が多くなりやすく早見えと決断力とテンポが大事になってくるけど、3時間とか5時間になると、中距離走になるからペース配分を考えないと後半失速する傾向があります。さらに6時間だと長距離走だから、今度は逆にペース配分よりも考える力が大事になると思うんです。

藤井二冠の場合、考える力はものすごく強い。けど、ペース配分が出来ていない分3時間5時間の棋戦は相手よりも持ち時間が大きく差がつくことがあります。

なので、現状では豊島竜王に勝つよりもチェスクロックでタイトル奪取の方が厳しいのではないかと考えられます。もう少し詳しく言うと王座戦叡王戦のタイトルをとれない可能性も全然あるということです。

 

ストップウォッチの場合

竜王戦 5時間 28勝4敗
王位戦 4時間 13勝2敗
王位戦 8時間(タイトル戦) 4勝0敗
王座戦 5時間(2018年度まで) 8勝1敗
棋王戦 4時間 12勝4敗
王将戦 4時間 20勝7敗
棋聖戦 4時間(二次予選以降) 8勝1敗
棋聖戦 4時間(タイトル戦) 3勝1敗
新人王戦 8勝1敗

合計 104勝21敗.8320

王将戦王位戦はリーグ戦もあるのでどうしても負け数が増えるけど、それを考慮してもそこまで苦手ではないかなと考えられます。ただ、棋王戦はいいところまで行ったことがないがタイトルまでそこまで時間かからないのではないかと思います。

 

まとめ

竜王戦王位戦棋王戦・王将戦棋聖戦は挑戦者になってタイトル取ってもおかしくない状態といっていいと思います。というのも、これらの棋戦では挑決まで行っていて、棋王戦は巡り合わせが悪く挑決でも初戦敗退だったが問題ないと言えます。しかし、王座戦叡王戦は今の藤井二冠のペース配分だと相当厳しいのではないかなと思います。